開催日:2025年11月30日
場所:三段峡&ビジターセンターLOUPE
参加者:スタッフ・講師含め20名
講師:青栁仁士
「森の世代交代」について学ぶイベントを開催しました。午前はフィールドワーク、午後はスライド講義という二部構成で、森の変化を現場で体感する1日となりました。
【 午前:フィールドワーク】
● トチの木の倒木エリアまでの様子
散策は、常緑樹の葉のサイクルのお話からスタート。「常緑樹はいつ葉を落とすか知っていますか?」と講師の青栁さんからの質問から始まり、広島県内では珍しいウラジロガシの多い環境や、スギやヒノキ林の特徴など、歩くほどに森の見どころが次々と現れ、講師の説明を聞きながらゆっくり歩きました。
途中では、ユズリハとヒサカキの対照的な成長戦略を比較し、参加者からも「へぇ〜」と声が上がる場面も。また、ツガの木の下枝が折れている理由について、「上部の生産力が高まり、不要になった枝を自ら落としたのではないか」と興味深い説明がありました。
歩いていると、ふわっと甘い香りが漂うエリアも。講師のサポートで同行してくださった広大さんけん部の大本武さんから、落ちたコシアブラの葉が濡れることで香り成分が立ちのぼったのだろうと。カツラやタカノツメの葉も同じように甘い香りがあるそうで、森の奥深さを感じるひと幕となりました。
● トチの木の倒木現場
現場に到着すると、参加者から最初に出た言葉は「明るい!」。大木が倒れることで森に光が差し込み、環境が一変していることがよくわかります。
周囲では、撤去されたトチの木の枝や幹から新芽が顔を出しており、参加者も思わず「生命力すごい…!」と感嘆。これが根づくのか?という話題になり、青栁さんは、水につけたりすると根が出る植物(カルス実験など)・出ない植物の話を紹介。トチの木で試してみては?さんけんで実験してほしい!と声が上がりました。
また、倒木で明るくなったことで、土の中の種たちが「今だ!」と一斉に芽吹く準備をしている。地中ではすごい動きが起きているはずだと。種によっては土中で10〜100年も生き続けるものがあることなど、森のダイナミズムに触れる説明も印象的でした。
さらにメインイベント!斜面に残る大きなトチの倒木を測定しました。ピンを使った樹齢調査の結果、樹齢は最低でも422年あることが判明。腐りや空洞は見られず、雨や風の影響で倒れた可能性が高いこと、また根が岩を抱え込むように伸びていたことから、岩場で懸命に成長してきた姿がうかがえました。


【午後:青栁仁士さんによるスライド講義】
午後はビジターセンターに場所を移し、「倒木は森林に何をもたらすのか?」をテーマに青栁さんが講義を行いました。
“非平衡状態”の森の中では、倒木などのギャップ(撹乱)が新しい環境をつくることで森が更新されることを丁寧に解説。植物の写真やグラフを交えながら、生存と成長のトレードオフの仕組み、多様な樹種が共存する理由などを専門用語を使いながらもわかりやすく説明してくださいました。
最後には、今回の三段峡の倒木周辺がこれからどのように変化していくのか、未来予測にも触れ、参加者の興味が深まる時間となりました。質疑では「放置された伐採地はどうなる?」「三段峡の優先種は?」といった実践的な質問もありました。
【参加者の声】
・「少し難しい話もあったけれど、丁寧な解説で森のサイクルがよく分かった。」
・「専門用語を知る機会になり、研究者に一歩近づいた気持ちで嬉しい。」
・「生存と成長のトレードオフの話が特に面白かった。家族にも話したい。」
・「『三段峡とは何か?』という大きな問いに対して、手がかりが見えた気がする。」
【おわりに】
倒木という現象が、森の新たな変化の始まりであることを体感した一日でした。
422年もの時を生きたトチの木を前に、森の長い時間と、それを支える小さな命の営みについても考えさせられます。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
三段峡の森がこれからどのように変化していくのか、ぜひまた観察しに来てください。
(担当:佐藤)
